美工・絵専時代の上村松篁 若き日の異色作をめぐって
- 会期
- 2024/04/06(土) 〜2024/06/02(日)
- 会場
- 京都市立芸術大学 C棟6階 アートスペースk.kaneshiro
- 入場料
- 無料
CONCEPT
第2回特別展「美工・絵専時代の上村松篁ー若き日の異色作をめぐって」を開催いたします。本展は、本学の芸術資料館の特別展「京都芸大〈はじめて〉物語」と連携し、芸術資料館にて京都市立絵画専門学校(絵専)時代の卒業作品を展示することに合わせて、上村松篁の同時代の作品を振り返る展覧会として同時開催する運びとなりました。
上村松篁(1902〜2001)は、本学の前身である京都市立美術工芸学校(美工)および絵専の出身で、その後教員としても長く教鞭を執りました。花鳥画を得意とする松篁の描く、上品で静謐な絵画世界は、現在も多くの人々を魅了しつづけています。本展は、松篁が美工・絵専時代に描いた、金城コレクションの《仮睡》を中心に芸術資料館の所蔵品3点を合わせてご紹介いたします。この度初出展となる《仮睡》は、松篁には珍しい女性像を描いた作品です。画家への道を切り拓く以前、松篁は学校でどのような絵画表現を模索したのか、本学の歴史を振り返ると共に、松篁の画業を知る貴重な機会となることでしょう。
【展示作品】
上村松篁《春立つ頃》大正10年(京都市立芸術大学芸術資料館蔵)
上村松篁《仮睡》大正10年(金城コレクション蔵)
上村松篁《花鳥 椿》大正13年(京都市立芸術大学芸術資料館蔵)
上村松篁模写《双鶏図》(銭選)昭和5年(京都市立芸術大学芸術資料館蔵)
【関連企画】
京都市立芸術大学芸術資料館 移転記念特別展
「京都芸大〈はじめて〉物語」第1期カイセン始動ス!
令和6年4月6日(土)~6月2日(日)
京都市立芸術大学芸術資料館 展示室C棟1階
COLLECTION
着物を身に纏い日本の結髪に西洋風が取り入れられた髪型の女性が、文机に頭を預けるようにして眠る様子が描かれている。本作は画面右下に「大正辛酉初夏」とあることから、1921(大正10)年の作とわかる。同年に京都市立美術工芸学校絵画科の卒業制作で、本展出品作の《春立つ頃》を制作している。
額や首筋の髪の毛を少し乱して眠る様子は、一仕事終えた後にほっとするような穏やかな時間が流れているように感じる。また、眠る女性という普段は表立って見せることのない、生活の裏の部分を描写することは、国画創作協会展にも見られる人間の影の仕草を描くという大正デカダンスの潮流を受けていると考えられる。
花鳥画が数多く残る松篁だが、女性の目元の影やシワの表現、力が抜けて少し前にでた口元など、実体感のある人物表現から幼い頃から小鳥や金魚といった生き物と戯れることで培った繊細な観察眼が感じられる。